お風呂に入れない時の体を拭く方法 座れる人の全身ver.【ヘルパーが教えるお家でできる介護術】

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こんにちは。
オチャノマ文具店の介護福祉士ちょこです。


お家で寝たきりの方、風邪をひいたり怪我をしてお風呂に入れないとき、体を拭いて清潔を保つという方法があります。

今回はご自分でしっかり座っていることができる方の全身を拭く方法を紹介します。

わたしたちヘルパーが実際に利用者さん宅で行っている体の拭き方で、お家にあるものでできる方法です。

手早くするには慣れも必要ですが、ポイントを押さえておけば時間がかかっても受ける人が不快になることもないですし、決して難しいことではないので参考にしていただければ幸いです。


※ベッドや椅子に座っても体が傾いてしっかり座っていられないという方の場合は、寝たままで行う方法か体の一部を拭く方法をおすすめします。介護の経験がない方がやると転倒などの危険があります。

短時間で体の一部を拭く方法はこちらで紹介しています↓
お風呂に入れない時の体を拭く方法 お手軽ver.



なお、全身清拭の際には陰部の洗浄も同時に行うことが多いですが、今回はあくまで「お家で誰でもできる」ことを目的としてご紹介したいと思いますので、陰部洗浄のやり方については省かせていただきました。



この記事を読んでわかること

・自力で座っていられる人の体を拭く手順がわかる
・体を拭くために必要な道具がわかる
・拭くと気持良いポイントがわかる

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清拭(せいしき)の目的と効果

温かい濡れタオルで体を拭くことを、わたしたち介護士は清拭(せいしき)と呼びます。

様々な理由で入浴ができないとき、手や顔を洗えないときに、体の清潔を保ち、さっぱりした気持ちになってもらえるようにおこないます。

入浴や足湯ほどではありませんが、温かいタオルを当てたり体に触れることで血行が良くなる効果もあります。

また、床ずれ(褥瘡)や出来物、内出血など体の変化を見つける貴重なボディチェックの機会でもあります。

10年以上介護の仕事に携わってきて、寝たきりでも、体が動かせなくても、食事が摂れなくなっても、最後まで「気持ち良い」と感じてもらえるのがこの「清拭」だと思っています。

ただ体を拭く、というだけのことですがちょっとした気遣いで気持ち良さが格段に変わりますので、ぜひ参考にしていただければ幸いです。

全身清拭のやり方

用意するもの

清拭を始める前に、物品を全て手の届くところに用意しておきます。

物を取りに行っている間、清拭を受ける人が裸で待ちぼうけ…なんてことになるとせっかくの気持ち良い清拭が寒くて不快な時間になってしまいますので、事前の準備はとても大事です。

清拭後に服を替える場合は、着替えも最初に準備しておきましょう。

フェイスタオルは1~3枚必要に応じて準備。

使い捨て手袋は介護の現場では下のようなプラスチック手袋を使うことが多いです。
手にフィットして外れにくいので使いやすいです。

ただしけっこう高価なので、100均のこういう手袋でも代用はできます↓

使い捨て手袋を使うのには、清拭をする人、受ける人双方の為の感染予防をするという意味。
また、手袋1枚はめることで少し熱めのお湯でも触れるようになるという意味があります。

準備

なにはともあれ、まず最初にやっておくべきことは部屋を適正な温度に暖めること。

冬は当然ながら、夏でも冷房が効いた部屋だと、服を脱いで体が濡れた状態の人にとっては寒く感じます。

熱中症にも注意しつつ、エアコンの設定温度をいつもより少し高めにするなどして調整しましょう。

清拭をする人が少し暑いな、と思うくらいの温度がちょうど良いです。

バケツはたらいでもOK。
あまり小さいものだとお湯が冷めやすいので、少し大き目のものが良いです。

最初にバケツに汲むお湯は50~60度くらい、目安としては使い捨て手袋を着けた状態でぎりぎりタオルを絞れるくらいの温度が◎

冬はあっという間にお湯が冷めるので、できるだけ熱めのものを準備します。


床が濡れないようにゴミ袋(シートなどでも〇)を敷いて、その上に使用するものを並べます。

手の届くところに全ての道具が揃っていると、清拭がスムーズに進みます。

清拭中にバケツやケトルをあやまってひっくり返さないように配置してみましょう。

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拭く順番

拭いていく順番は、体の上から下へ、が基本です。

足の汚れがついたタオルで顔を拭く…なんてことがないように。

拭く前に タオルの適温!

バケツのお湯でフェイスタオルを絞ったら、広げたりとじたりしてバフバフして適温に冷まします。

けっこう熱い方が気持ち良いです。
火傷するほど熱くなく、しかし冷まし過ぎず、という絶妙なところを狙って。

手のひらは丈夫にできているので熱さを感じにくい場所。
タオルの温度は腕の内側で確認するとよいです。

火傷の事故を防ぐ為に、タオルを絞ったら、必ず毎回温度を確認するということを徹底してください。

人によって温度の感じ方に違いがあるので、意思表示ができる場合は本人に熱くないか聞いてみるのがいちばんいいですね。

拭き方

基本は、こするのではなく、タオルで押さえたり、包み込んで温めるという感じ。
強くこすらなくても蒸気で皮脂や汚れがタオルに移ります。

絞ったタオルで最初に拭いて、その後すぐに乾いたタオルで水気を拭き取ります。

乾いたタオルはフェイスタオルを1枚使っても良いですし、体にかけるバスタオルで拭いても良いです。

皮膚上に水気が残っているとかえって体を冷やすことになるほか、べたべたして気持ち悪くもなります。お風呂のあと拭かずに出てきたのと同じようなことですね。

少しことですが、すごく大事なポイントです。

顔はタオルで包む、というわけにはいかないので、小さくたたんだ温タオルで押さえるようにして位置を変えながら拭いていきます。目を拭いたら、タオルの面を変えて頬を拭く、というように場所を変えるときには折り返して面を変えていきます。
こうすることでいつも綺麗な面で、かつ、温かい面で清拭することができます。


顔を拭くときのポイントは2つ
・目元は必ず目頭から目尻の方向に拭いていくこと。逆向きだと涙腺からばい菌が入って眼病の原因になることがあります。
また、右目と左目はタオルの面を変えて拭くことで、右目の眼病が左目に移る、なんてことを防ぎます。

・顔の中心から外側に向かって拭いていくこと。
化粧水やクリームもそうやって塗りますよね。こうすることで血行(や多分リンパの流れとかも)が良くなります。

顔だけは乾いたタオルで拭かなくてもOK。

上半身

一気に全ての服を脱ぐ必要はありません。

ズボンやスカートは履いたままでいいので、上半身だけ脱いでもらい肩にバスタオルをかけると「裸」って感じがしないし、寒さ対策にも。

ベッド上に座って行うときは、L字バーがあれば掴んでいてもらうと安心です。

冬は寒いので、バスタオルかけながら左右で分けて半分づつ拭くと〇

前でバスタオルを抱いていてもらって、背中全体を暖めるとすごく気持ちよいです。

これは気持ち良いのでたまに自分でもやります。

腰のズボンのゴムのところも汗をかきやすいので、ズボンを少し下にずらして拭きます。


腕や手は服を着たあと、袖をまくってやればOKです。

手のひら~肘くらいまではタオルで全体を包むようにしてしばらくキープするとぽかぽかして気持ち良いです。

下半身

上の服を着たら、太ももから下を拭きます。
ズボンやスカートを脱いだら、寒くないよう膝にバスタオルをかけます。

足を持ち上げると上半身がぐらつく場合があるので、特にしっかりL字バーなどに掴まってもらいます。

足はつま先からかかとまでをタオルで包むようにするとこれまた気持ち良い。

指の間も優しく拭きますが、指を広げると痛みを感じる場合や皮膚が弱くて皮がむけそうな場合は無理せずやめておきましょう。

温かさを保つ 足し湯

全身を拭く場合は、最初に準備したバケツのお湯がどんどん冷めてきます。

夏は多少ぬるくても良いかもしれませんが、ぽかぽかのタオルで拭いてもらう方が断然気持ち良く感じるので、できればケトルやヤカンに熱いお湯を準備しておいて、少しづつ足しながら清拭すると◎

最初からバケツいっぱいにお湯を汲むと足せないので、最初に汲んでおくお湯の量はバケツの半分くらいにしておくのがコツです。

自分でやってみるとわかる気持ちよさ

全身清拭は少し時間がかかるし、受ける側も体力を使うので毎日は大変かなと思います。

また、一気に全身を拭かなくても、今日は上半身だけ、次は下半身だけ、と半分づつに分けてやっても良いです。

状況に応じて、やる側も受ける側もいちばん楽ちんなやり方を探してみてください。


ちなみに清拭は、一度自分の体で試してみるのがいちばん。

わたしは毎朝起きたら自分で全身清拭をします。
仕事の合間に汗だくになったときにも、首の周りや腕の清拭をします。

めっちゃくちゃ気持ち良いです。
清拭はお風呂に入れない時だけのものじゃないんです。

自分でやってみると、どういう風にしたら気持ち良いか、どのくらいが気持ち良いかがわかります。

「気持ち良いから家族にもやってあげたい」、そんな気持ちになってもらえたら嬉しいです。


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